Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

小保方さんはSTAP細胞の夢を見るか?

生まれなかった細胞のために僕は祈る。この祈りはSTAP細胞のためであると共に細胞の母になれなかった小保方さんのためのものだ。STAPは悲しい想像妊娠だった。彼女は母になる夢を見ていた。その夢は、その甘美さ故に他者を魅了し、とらわれた者の悪夢になってしまった。だから僕は祈る。彼女が己の夢の中だけで生きていかれるようにと。

夢。今朝、夢枕に部長が立った。部長はなぜか7人だった。部長たちは皆、生前気に入っていたタンクトップにジャケットというシティーハンター・コーデで、12月はさすがに寒いのだろうね、顔色が悪く、まるでエヴァンゲリオンのゼーレの老人たちのようであった。生前の悪業が祟り、成仏出来ないのだろう、7人の部長は口をアホな金魚のようにパクパク開閉させ、何かを訴えるようであった。顔面には苦悶の色。僕は手を合わせて部長の冥福を祈ろうとした。けれども明け方の寒さは筆舌に尽くしがたく、って筆にしとるけれど、部長の成仏ごときのためにヌクヌクの布団から手を出すのはイヤなので祈るのはヤメにした。成仏かなわぬ部長は今後ジバニャンとして生計を立てられていくことだろう。

生前の部長もよく夢を見た。始業前、爪切りを揺らし、溜まった爪の奏でるシャリシャリという音をひとしきり愛でたあとによく夢を語った。「黄金の階段を登りきるとよ…金の延べ棒が落ちてくるんだよ」そんなお決まりの口上に続くのは決まって競馬とナンバーズの予想だった。ナンバーズの予想はいつも5桁だった。「ワンエイト…」「イチイチマル」「次はこの数字が来る…」と自信満々で語るジバニャンに耐えかねて「買えばいいじゃないですか」と返すと「買うと世界が動いて数字が変わってしまう」と悲しい顔をした。僕はそんな悲しい男の顔を今まで見たことがなかった。夢は口にしてしまうと叶わなくなってしまうのかもしれない。STAPもきっとそうなのだ。

小保方さん。部長。信長。みんな夢を見た。STAP、万札、天下統一。かなわない夢だった。夢には、希望や目標と夢幻のふたつがあって、そのふたつの夢を混同し、取り違えてはダメなのだ。汚い現実を生きた部長は夢幻を現実に引き出すと消えてしまうと言った。夢に生きてしまった小保方さんは夢を現実に引き出すことが出来なかった。想像妊娠の子、STAP細胞は、他人の手による帝王切開では生まれない。それだけのことなのだ。

時に叶わないこともあるけれど夢を見るのは素敵なことだ。だから僕は叶わなかった数多の夢たちの冥福を祈る。小保方さんの夢の帝国が僕の生きる現実社会へ再侵攻してこないようにと僕は祈る。「スワップ願望はあります」僕のこんな夢も現実に引き出したら消えてしまうのだろう。悲しくてやりきれない。