Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

GT-Rに恋をして

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スカイラインGT-Rに恋をしている。その名からスカイラインが外れてGT-Rになった今でも恋い焦がれている。きっかけは1992年に同じ高校から慶応SFCに入ったオヤマダ君。彼が親から入学祝いに買ってもらったスープラの助手席にGALを乗せて遊び回っているという噂をSFCのマリオカートで遊んでいるときに耳にした瞬間、心の中でバルルルルル!エンジンが重低音の唸りをあげて、「オヤマダがスープラでGALをゲットできたなら、GT-Rに乗ればモテモテは間違いないだろう」という邪な考えが天から降ってきたのだ。オヤマダ衝撃的な大学デビューの真偽は遂にわからなかったが、GT-Rは僕のなかで神格化されてあり続けた。カラオケでGAOを歌い、飲んでばかりの貧乏な大学時代にGT-Rに手が届くはずもなく、社会人になってもそれは変わらなかった。酒量だけは順調に増えていったが、GDPが伸び悩むのと足並みをそろえるように僕の給料は伸び悩んだ。GT-Rは手を伸ばしても届かない存在だった。それでも冴えない会社員生活のなかで一時的にGTOの松島菜々子にハマって酒を飲みながら猿のようにコスり続けたごくごく一時期を除けばGTRから浮気をしたことはなかった。2000年代のはじめに、酒と煙草の20代が終わり、酒びたりの30代がはじまった。GT-Rは遠くなるばかりだった。お見合い結婚が僕とGT-Rの関係を決定的なまでに引き裂いた。「スポーツカーなんて実用性のない乗り物いらないよね」「御意」。GT-Rを思いながら毎晩酒を飲んだ。がぶがぶ飲んだ。自分ではGAPの服でキメて、若いつもりでいたけれども、酒を飲めばオゲオゲとGEPする中高年になっていた。電球はLED。アイドルはAKB。書類はPDF。ボスはCEO。薄毛にはAGA。ゲームはGEO。あらゆるものがABC3文字に置き換えられ身近になったがGT-Rは近づいて来なかった。2010年代。肝機能検査でγ-GTPは100を越えて上がり続けた。両手は3.8L V6 ツインターボエンジンのように震えている。そこで僕は気づく。すでに僕の身体のなかにはGT-Rがやどっていたのだと。ガソリンのかわりに酒を消費しつづけている僕だけのGTR。γ-GTPを加速度的に上げつづける僕のGTRには誰も追いつけない。そしてその先にGODはいない。(所要時間13分)