Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

かつて2世信者と交際したことがある。

具体的な団体名称は明かせないが、新興宗教の2世信者と付き合ったことがある。当時、僕は30才で相手は20代前半だった。彼女は母子共々の信者だった。彼女自身も、親の影響で無理やりというわけではなく、積極的に青年部に属して何とも表現しにくい会合に出席していたし、事故で人が亡くなったニュースに「きちんと加護を受けてない人間だから死んでも仕方ない」と発言したりしていたので、そこそこ厚い信心をお持ちになられていた。

カルト教団が世間を騒がせてから10年も経っていない時代だ。宗教ガールと付き合うのがリスキーであることは僕も分かっていた。なぜ付き合ったのか。一言で言ってしまえば隠蔽されていたのだ。いたした後、「実は私ね」とカミングアウトされたときの衝撃は忘れられない。合体グランドクロスのあとで「私と付き合いたいのなら青年部に来てよ。仲間たちもいるから」と恐ろしいことを言われても関係を絶てずにいたし続けたのは、ただただ20歳そこそこの若い女性の肉体が発散するエロに抗えなかったからである。据え膳食わぬは云々と自分に言い訳しつつ、仏壇を食ったのだ。負けたのだ。煩悩に。合体グランドクロスの快楽に。

ヤバいことになる前に関係を終わらせなければいけない。そう思いながらズルズルといたしていたのは、ヤバさとエロさとの狭間の快楽から抜け出せなかったのだ。僕「入れたい」宗教ガール「入信させたい」。お互いに入れたいものは違っても入れたいという気持ちは一緒であった。とはいえ「今度本部に行こうよ」「分かった分かった」合体グランドクロス!「いつ行く」「うーん、まだ気持ちの整理が…」こんな関係がいつまでも続くワケがない。

何回かいたしたあとで彼女の部屋に行った。部屋には神棚と仏壇の雑種のようなインテリアがあって、中にはビニ本サイズの大きな冊子が飾られていた。僕がそれらを指差すと彼女は「何指差してんねんコラ!」とブチ切れた。すべてを悟った僕は信仰リスペクトの気持ちと煩悩から甘い言葉をささやき、怒りをなだめ、いたすムードに持ち込んだ。仏神棚壇を買わされるのではないかという恐怖が煩悩に火をつけて、僕史上最高硬度を記録した(当社比)。信仰リスペクトの心から、彼女の信仰心と立場に配慮して、いたした。僕の身の安全のためでもあった。指を差して「おいコラ!」である。僕自ティンで指そうものならチョッキン!される危険性もあった。なのでワンルームマンションの隅に置いてあった仏神棚壇のある方向に、モロ見えにならぬよう工夫して、いたした。

結果から申し上げると最高に燃えた。ハイになりすぎて真っ白な灰になった。途中から、彼女は仏神棚壇にモロ見えになるのも構わなくなった。怒張した僕自ティンが仏神棚壇を指し示しても気にしなくなっていた。彼女が人生をかけて信じているものを忘れてしまっている、そう気づいた瞬間、僕は神を超えた気分になった。「宗教合体グランドクロスサイコー!やめられねー」と丸出しで浸っていると攻守交代となり、彼女は僕を仏神棚壇の目前に引きずっていき、その場でここでは描写出来ないようなポーズを取らされた。ポールのないリンボーダンス(全裸)のようなムーブをキメさせられた。仏神棚壇の前で。神の前で。彼女はそれまで見せたことのないほどエキサイティンしていた。その一方で僕は醒めていた。めちゃくちゃ醒めた。うまくいえないが、僕という存在が供物にされたように感じたからだ。内心を占領されたように思えたのだ。なんなんだよ。信仰をリスペクトをしてマネジメントしたのにこの扱いかよとマジでムカついた。彼女とはそれで終わりだった。嘘。それから2回ほどハードにいたしてから終わった。

宗教、信心、マネー、煩悩、資格、学歴、仕事…人が何を大切にするのか、その順位は人それぞれである。僕だったら煩悩やエロを第一に考え、宗教ガールは宗教や青年部や家族を第一にしている。それだけのことだ。同じ人間のなかでもTPOに応じてそれは変わる。仏神棚壇の前の彼女のように。つまりその順位に絶対などないのだ。それに気づかないふりをして「信じれば絶対に良いことばかりだよ」つって入信させようとするのは欺瞞だろう。少なくとも僕は仏神棚壇の前で強制的にご開帳されてドン引きした。「え?神様の前だよ。いいの?」」つって。もし絶対的なものがあってそれを信じるのなら、徹底的に絶対的なものとして扱えよ。たとえそれが嘘であっても。人の心の中はわからないし、変えられない。僕は宗教や信心を否定しない。ただ、人を巻き込むな、そう思うだけだ。宗教ガールはその後、教団で知り合ったパッとしない外見のメガネ男と結婚した。めでたく、子供が産まれて3世信者として順調に成長しているらしい。もう中学生になるはずだ。そういえば彼女はゴムをイヤがった。肉欲と煩悩に溺れて3世の親にならなくて良かったと思うばかりである。地獄の淵で僕の目を覚ましてくれた強制リンボーダンスには感謝しかない。(所要時間42分)