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Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

「君は新垣結衣さんと比べても魅力的だよ」という褒め言葉は不快らしい。

日記

いい加減なことが嫌いな性格なので何かを伝えるときは出来るかぎり数値的なものを示すようにしている。今回もその原則に基づき妻の機嫌を取るつもりで「君は新垣結衣様の1万分の1くらいに魅力的だ」と褒めたはずだが気分を損ねてしまった。「宣戦布告ですか?」と物騒だ。新垣結衣様、ガッキーは僕にとって美の化身、ミューズである。彼女の1万分の1の魅力を保有しているというのは全人類60億人のうちトップ100万人に相当している。そのように理路整然と説明しても逆効果で「それは君が得意技にしている《相手を褒めながら貶す》ですよね」などと言って戦争準備を進める手を止めようとしない。神に誓って違う。ピュアにお世辞のつもりだった。「君はガッキーより可愛い」なんて言ったらそれこそ死刑ものの嘘だ。僕はガッキーという女神と比べることで妻の魅力を評価したにすぎない。「フカキョンはどうですか?」妻が訊いてきた。質問の意図がわからない。だが妻の真剣な顔は冗談は受け付けていない空気に満ちていた。考える。フカキョンは深田恭子様を指しているのは間違いないが、どうですか?、とは何だろうか?僕は妻の意図を察して慎重にそして明確に答えた。「深キョンならヤリたい」。ガッキーや深キョンとお手合わせしている男がいる現実を僕はうまく受け入れることが出来ない。そして、その苦悩を吐き出した直後の重苦しい空気を表す言葉を僕は見つけられないでいる。妻はトイレ掃除をしているときにする虚無的な目で僕を見つめ「新垣結衣ちゃんを基準にしたら深キョンはどの位置にいるのですか?と訊いています」と言った。「難しいな」僕は言った。深キョンは僕の中でベストジーニストでいうキムタク枠にあるからだ。「『どっちの料理ショー』でカツ丼と親子丼で優劣をつけるのと同じくらい難しいよ。ISとキタチョーはどちらがヤバイのか明確に言えないのよ同じようにね」「出ましたね」妻が待ってましたというふうに言った。「何が?」「必殺《よくわからない言い回して逃げる》。君の得意技ですよ」かなわない。「うへえ」僕は池波正太郎先生の小説の登場人物な声を出してしまった。「とりあえずこの動画を見てくれよ。そうしたらガッキーの1万分の1という評価がほぼ学校一レベルであることがわかると思う」と僕は言った。妻は動画に合わせて踊っていた。

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妻は拙い踊りを披露したあとに「1万分の1なら良しとしましょう」と言った。納得した様子だった。僕の失策は美の巨人を基準に褒めたことにある。劣悪なそこらへんのオバハンを基準にすべきであった。「スーパーにいるオバハンの少なくとも3倍くらいチャーミングだよ」これが正解。「一つ質問していいですか?」「何?」「ガッキーに欠点ってあるのかな?」「あるよ」「教えて」「僕の知っているかぎり彼女は女子大生ではない。とても残念なことではあるのだけど」僕らはテーブルの上ですっかり冷めてしまった冷凍ギョーザを見つめていた。冷めてしまったものは温めればいい。「女子大生ではないのは本当に残念なことですね」妻は言った。完璧なものは存在しない。ガッキーでさえ完璧とはいえない。その動かしようのない現実は僕をひどく落ち込ませる。(所要時間15分)