Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

日記が静止する日


 網タイツをはいた派手なギャルが配っていたティッシュペーパーに「クリ○○ス特別サービス!ドM 看護婦 ペンライトのぞき」という文言がプリントされた紙が挟まっていた。このような文句の場合「ドM」とはサービスを受ける側がマゾになれるのか、サービスを施す看護婦がマゾなのか、よくわからない。ドMと看護婦の間にあるワンスペース「 」に僕は頭をかかえてしまう。並列された「ドM」「看護婦」「ペンライト」「のぞき」四つの言葉の関係性も不明瞭だ。やれやれ。僕はビング・クロスビーのホワイトクリスマスが流れるオフィスでぼんやりとドM看護婦について考えはじめていた。


 ドM=看護婦と仮定するなら、「ドMの看護婦の痴態をペンライトをもちいてのぞく」「ドMの看護婦と店頭に陳列されたペンライトをのぞく」と解釈するのが自然だ。あるいは「ドM看護婦がプライベートで所有する、大人のおもちゃとして大活躍中ペンライトのミズシマヒロ君を、ドM看護婦の目の前でのぞきこみ、『ほうら変態。ペンライトでしているのか変態。ほれほれスイッチをオンにするぞ。うれしいか。そうかそうか。オフにするぞ。いやんいやんか。そうかそうか』と言い放ち看護婦に辱めをあたえる」という解釈か。


 ドM=客と仮定するなら「私はドMです。看護婦さん、そこにあるペンライトを使ってわたしの恥ずかしい姿や部分をどうぞごらんください。ああ、それはペンライトではありません。ペンライトはもっと冷たくて硬質です。はい。それがペンライトです。じゃあわたしはちょっくら四つんばいになりますね。ちょっと恥ずかしいので照明を落としていただけると助かりますワン」「私はドMです。看護婦さん、今から四つんばいの犬になってペンライトを覗き込みますから、厳しい言葉をなげかけてください。情けない声を聞いてもらいたいのでこのメロウな音楽、「LOVEマシーン」ていうのですかこの曲は、とにかくこのボリュームを落としていただけると助かりますワン」という解釈か。


 で言葉って面白いなあ、とやっていると総務のマヤちゃんがやってきて、課長、と僕に声をかけた。マヤちゃんとは来年の7月或いは8月にディズニーランドに遊びに行く約束をしている仲だ。おいおい人目に付くと困るんだ、それに僕はドM看護婦について思索していて忙しいのだよ、君もMかい、ドの付くMなのかい、僕もMだよ、ドは付かないけどね、ってうねうねやっていると、「課長 デリートオ…」とマヤちゃんが言ってきて僕は石になりました。石頭で「フミコ課長。ごめんなさい。来年の約束なかったことにして。出来たら再来年にして」「フミコ課長マジうざいから存在ごと全部消えて」「フミコ課長、もしかしてはてなダイアリーというWEBサービスでDelete_Allを名乗っている人物とはあなたのことではありませんか。すごいファンなんです。抱いて!」というふうに「課長」と「デリートオ」と「…」三つのパーツの解釈をしながら、事態の推移を見守っているアフターファイブ。ばれたところで恥ずかしいことなど何一つない日記ですから、出るところに出ろって言われたら出ますけどね僕は。ってこんな日記書いたら認めたようなものでバカなほどロックンロールだよなあ僕は。