Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

現役課長が最強会話術を公開します


 誰かと会話していてその場にいない人の話題になったとき、対応に困る人は多いのではないだろうか。話題になった人が、素晴らしい人格、裕福な財布、精力絶倫のようにエクセレントであれば問題はない。ただ、「ああーっ」、と感銘をうけたような八の字眉な表情をつくりオーバーな声をあげて、「あの方はすごいですよね」「アノ人は私のなかでもキテます」「海綿体に血液が流れ込みそうです」と魂に従って言えばいいだけである。問題は、話題になった人が微妙な感じ、ちょっと…感のある人の場合である。

 先日、取引先にて商談を終えたあとにウチの部長の話題になった。前に、僕、部長と三人で面談した際に、突如、ピクルスの漬け方を熱く語りだし、「モグタンのように口のなかで味がはねます…」と話を終えた、ウチの部長の人格が不思議でならないらしい。


「フミコさんはあの方をどう見てますか?」


真摯に「馬鹿だと思います」と言える人間であれば今頃僕は21世紀のドラッカーになっていると思う。しかし、得意先に自分の上司が馬鹿だと宣言すれば、同僚を馬鹿というオタクの会社どうなのよと思われるのは必至であるし、相手から「馬鹿より能力が著しく劣るために馬鹿よりも下の役職にいるのだね貴方は」と見られるのも、それはそれで我慢ならない。


 一方、自分の心に嘘をついて「ウチの部長は能力があります」「異能者です」と言ってしまえば、相手も「そうですか…」と相槌を適当にうって会話が終わる公算が極めて大であるが、ビジネスはああ非情。ひょっとすると、会話を終え僕の背中が角を曲がり見えなくなった途端、相手は給湯コーナーで聞き耳をたてていた女子社員に「聞いたかい?ピクルスとモグタンのアノ人が能力者だって…その程度の会社よ」と笑い、足元をみられた我が社は契約を切られ倒産し僕は昼間から河原に座り、クルクルバビンチョ パペッピポ ヒヤヒヤドキッチョナ〜もーーーぐたん!、モグタンの呪文を唱える生活に…。どうすれば…。佐々木常夫さんの名著「そうか、君は課長になったのか。」に答えはなかったので、熟慮して僕はこう言った。肩をすくめ、肩と腰の間に浮かせた両の手のひらをふりふりさせて、言った。真顔で言った。


「僕はあの人とは全然違うレベルですよ」「とても同じ土俵では戦えません」


 これは、あの人は僕よりも全然人間的能力的にレベルが低いです、僕が大関とするならあの人はちびっこ相撲の行事です、という意味であるが、受け取る側によって意味が逆になり、相手もそれを察していちいち突いてこないので、馬鹿にしたい対象を自分に火の粉が降りかからないように馬鹿にして且つ自尊心を守るのに非常に有用なのでお試しあれ。


ツイッターやってるよ!→http://twitter.com/Delete_All/



※お知らせ


6/12(日)の文学フリマhttp://bunfree.net/)に参加しています。今日だよ!

参加しているのは以下のサークル。豪華執筆陣の片隅でくだらない文章を書いてます。「僕は豪華執筆陣とは全然違うレベルですよ!」←いやこれに他意はございませんベベンベン。


・「UMA-SHIKA」(N-01)/ 「UMA-SHIKA第5号」(500円)掲載「温泉観音の思い出」
 http://d.hatena.ne.jp/uma_shika/20110508/p1


・「筑波大文妄」(N-18)/ 「妄点」(10円)掲載 「みんなのアパム」
 http://bunmow.net/