Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

妻と話し合ったうえで決めました。

  昨年の春から続けていた妊活をやめることにした。理由は、妻にかかる負担が大きいから。2年弱。その期間が長いのか短いのかわからない。僕らよりずっと長い間頑張って子供を授かった人たちがいるのも知っている。

  でも、もう、やめだ。人工授精で妻を苦しめているのは僕だ。僕は不能で精液量は少ない。精子の数も少なく、その上、精子の活動も活発ではないといわれている。医者からは難しいといわれた。僕は心の片隅で無理と言って欲しかった。薄い希望がかえって残酷なときもあるのだ。

  妻は口にしないけれど子供が出来ないのは僕のせいなのだ。それどころか、僕のせいなのに、女性心理なのか母性というやつなのか男の僕には考えが及ばないけれど、妻は母になれないのは自分のせいだと思っているフシもある。悩んでいる妻は見たくない。「もう、やめよ」そんな空気が僕らのなかで膨らんでいった。

  子供を諦める。そんな重大な決定のわりに最後の手続きは簡単だった。時間をかけた話し合いを経ての僕の提案に妻は「御意」のひとこと。それだけだった。残りの人生、今40だから、あと3、40年てところだけど、そんな長い年月を夫婦だけで子供もなく楽しくやっていけるのだろうか。どちらかが1人になったとき、支えになってくれるであろう子供がいないのは寂しくはないだろうか。重い御意だった。僕に出来るのは妻より一分、一秒でいいから後に死ぬよう努力すること、妻にたくさん笑ってもらうこと、そして子供のかわりになることだ。

   僕は僕の子供になる。ぼくはこどもだお。オッパイがだいすきだお。すきなポケモンはルカリオだよ。だーいすき。ぱいおっつー。ダメだ。口先だけじゃダメだ。心も身体も子供になりきらなければ。本物の子供に近づくためなら全身の毛を剃る。妻が望むなら、クリニックで下半身を子供の頃に戻すことだって僕は厭わない。