Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

立場が人を作る。空と海を作る。森も作る。

僕は神奈川県で働くサラリーマン。昨日、緊急事態宣言の延長への対応を決める打合せに出席した。僕は新規開発部門の責任者(営業部長)なので、緊急事態宣言下の活動計画について説明をしたが、打合せに出席した面々の「こんな時期に営業しても無理でしょ…」という諦めムードにガッカリしてしまった。今回の打ち合わせにおける収穫は、現場を預かっている事業本部長と管理部門の長のあいだにある、緊急事態の捉え方の違いが明らかになったことだ。事業本部長と管理部門長。両者に共通しているのは、既存の数字を預かっている自分たちは偉いという謎の自信に裏打ちされた特権意識だ。加えて、「営業は緊急事態宣言中に仕事しなくていいよな」という営業部門に対する差別意識についてはまるでダイヤモンドの一枚岩である。

僕が「営業部門としての活動スキームを説明すると、「今、新規で仕事を取ってこられても、現場の人数をおさえているから対応できない」と現場を回すことを第一に考える事業本部長としての立場から反論が飛んできて、続けて「そうはいっても、銀行からの融資を考えると営業には予算は必達してもらわないと困る」と管理部門長は自分の立場から発言した。この人、かつては営業部門にいたはずなのに、なぜ、営業の置かれた立場がわからないのだろうとムカつきつつ、「営業セクションは出勤を78%削減しました」と営業部門のテレワークの実態を報告すると、「いやいや、現場を預かっている立場から言わせてもらうと、営業も現場と同様に安全対策をしっかりやったうえで、営業活動しなければダメだろう。事務屋じゃないのだから」と現場を預かる事業本部長が文句をいい、続けて「78%…裏を返せば20%強はこんなご時世に対面営業をしているってことだろう。営業部長、現場と管理部門はテレワークできない仕事があるぶん、営業部門でテレワーク100%を目指して社会から求められている目標数値達成に貢献してくれ」と管理部門長も己の職責と立場から主張した。僕も「そんなこと言われても」と営業という立場から意見を言わせていただいた。

立場。立場。立場。在籍はかぶっていないが、二人とも営業部門出身なのに、なぜ、わかりあえないのだろう。立場が僕らを変えたのだ。事業本部長と管理部門長という立場が営業マンを、現場マンと事務マンへとメガ進化させたのだ。彼だけではない。僕自身も変わった。イチ営業マンから営業部長という立場になって、よく言えば俯瞰的に部署を見られるようになり、悪く言えば計算高くなり、無理をしなくなった。立場が僕を変えたのだ。そう、立場が僕らを魔改造する。そして僕らは以前の自分を否定するような発言をする。営業部長。事業本部長。管理部門長。個人の人格ではなく、長という立場からの発言。人が人でなくなる瞬間。僕に出来ることは、ときどき、自分がいた場所を思い出して、イチ営業マン時代の気持ちと意識を回復することだ。立場に毒されないようにしていくことだ。

立場や役職に心や精神まで支配されたくないものである。弊社のように、事業本部長と管理部門長を兼務するひとりの人間が、分裂したかのように別の立場から異なる意見を言うようになったら、末期である。人は立場に抗えないのかと絶望してしまう。ひとつ希望があるとすれば、東京五輪組織委の森善朗会長は組織委会長という立場になったからではなく、ナチュラルボーンに立場な発言をされていて、立場に人が負けないことを証明してくれていることくらいだろう。(所要時間19分)このようなサラリーマン日記を収録した本を出しました→ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。