Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

48才で『スプラトゥーン』をはじめた。その切実な理由について。

『スプラトゥーン3』で遊んでいる。前作前々作をプレイしていないので『3』からの参戦になる。スプラは、ウィキペディアによれば、プレイヤーキャラであるインクリングを操作し、ブキを用いてインクを放ち、地面を塗って陣地を広げたり、敵にインクを当てることで倒して戦うゲームである。撃ち合いで負けることが多いけれど悔しくて楽しい。スプラ3は記録的な売上をあげている(特に日本では)。その人気にあやかってPV稼ぎなんだろうね、人気の秘密について書いている記事も多い。いくつかをピックして読んでみた。つまらないものから最高につまらないものまで様々な文章だった。「撃ち合いだけで勝敗が決まらない秀逸なゲームシステム」「前作からの正統進化系」「正直いってマンネリはある」等々上品ぶった文体で平凡な分析がなされていた。後からもっともらしい理屈と理由をつけているような印象を持った。スプラで遊んでいる人間はもっとプリミティブな衝動に動かされている。間違いない。その衝動とは「粘性液体をぶっかけたい」という誰もが多かれ少なかれ持っているものだ。壁に床に柱に粘性液体を塗りつける。人体に、顔面へ、粘性液体を発射する。プリミティブな欲望を満たすために俺たちはスプラ3で遊んでいるのだ。否定できないだろう。秀逸なゲームシステム?はぁ?偉大なるマンネリ?はぁ?正当進化系?はぁ?という溜息が出てしまう。そんな理由は後付けだ。粘性液体をぶっかけたい。その一言に集約されるのだ。

大人になった俺たちは他人に液体をかけられない、うだつのあがらない人生を送っている。かつて子供だった頃、俺は地面にびゃー!隣家の壁にびゃー!幼馴染の郁子ちゃんにびゃー!と泥やスライム、その他もろもろの粘性の液体をぶっかけて回った。だが時は経ち郁子はオバハンになり、隣家の壁の向こうでは孤独死した住民が見つかった。俺も48才になった。48才で壁にびゃー!なんて出来るか。出来ない。オバハンになった郁子にびゃー!したいか。したくない。だが、スプラ3ならそういった粘性液体をぶっかけたいという妄想を合法的に叶えられる。

粘性液体を床にぶちまけた刹那、俺らの心の奥からはもっと塗りつぶしたいという独占欲、征服欲が生まれてくる。ナワバリバトルというモードのナワバリ=領土である。スプラ3とは粘性液体をモノや人にかけまくるプリミティブな欲望を満たすと同時に、領土を拡張する征服欲を満たす、愚かな人類を満たすためのゲームといえるであろう。世界の独裁者たちよ。ウラジミールよ。隣国にミサイルを打ちこんでいないで、俺とスプラ3で征服欲を満たさないか?(所要時間14分)