Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

私の異常な確定申告。如何にして私ははじめての確定申告の準備不足を乗り越えて苦労することなく確定申告ができるようになったか。

はじめに告白しておこう。今回の記事は当ブログ初のPR記事である。泣く子も黙る天下のアドビ社から、「僕と私の確定申告」という企画で記事を書いてほしいという依頼を受け、キーボードを叩いている。いやいや続けてきた確定申告ではあったが、それがきっかけで仕事に繋がったのである。今後は手のひらクルーで確定申告を神のごとく崇めたいと思う。なお、本文についてはいっさい編集者の手は入っていないので、読者諸兄にはいつものブログと同様に読んでもらいたい。

 

1.確定申告とは縁がないと思っていた。
 
ごく平凡な会社員として働いてきたので、確定申告は他人事だと思っていた。もちろん、ネットや雑誌で、会社員が確定申告をしていることに係る記事を目にしていたので、会社員と確定申告が完全に別のカテゴリにあるものでないことは知っていた。副業で多大な利益を得ている人や、莫大な遺産を相続した人は、会社員という身分でも確定申告が必要になる、という認識をうっすらと持っていた。
 
しかし、それでも他人事としか思えなかったのだ。というのも会社員という身分でいることのメリットは、安定(実はそうでもないけれども)と煩わしい手続きをしなくてもよい手軽さにあると考えていたからだ。リアル感がなかったというのもある。これまで数社に勤めていたが、同僚たちは、毎年2月からの確定申告の季節がやってきても確定申告の「カ」の字を出さない人たちばかりだったからだ。超一流企業であれば、財テクや副業をバリバリやり、節税対策も万全で確定申告をしている社員ばかりだろう。残念ながら僕のこれまでの会社員人生はそのルートからはかなり遠いところを歩んできたのである。
 
現在、僕は毎年確定申告をしている。必要に迫られて数年前、はじめて税務署を訪れたときの驚きの光景を忘れられない。税務署には多種多様な人がいた。そのなかには、僕と同年代かつ会社を抜け出してきたような量販店で吊るしてある平凡なスーツを着た、どこから見ても、うだつのあがらない会社員が大勢いたのである。さすがに知り合いは見かけなかった。しかし、確定申告とは無関係・無関心を決め込んでいるように見えたかつての同僚たちのうち何人かは、おそらく、それぞれがお互いにニンジャのように正体を悟られないように確定申告をしていたにちがいない。そう確信させる光景が税務署にはあったのである。
 
つまるところ、かつての僕は確定申告に対して、煩わしい、面倒くさい、大金を稼ぐ(これは悪いことでないけれど)、悪徳税理士、確定申告をしないと罰せられます的な税務署の高圧的なメッセージ等々から、ポジティブな印象をもっておらず、そのために、できることなら会社員をやっているあいだは確定申告したくないという気持ちがあったのである。
 
しかし、先ほど少し触れたように現在の僕は毎年きっちりと確定申告をして納税している。会社員という立場は変わらないが、確定申告をする条件にはまってしまったのである。数年前から確定申告をしている。そのころから、会社員のかたわら、ウェブ・メディア向けの原稿を執筆したり、連載をもったり、書籍を出したり、といった書き仕事をはじめたのだ。
 
最初は副業をはじめるという認識はなかった。ブログを通じて僕に興味をもってくださった奇特なメディア関係者や出版社の編集者から声をかけられ、アルバイト感覚で始めた。遊びのつもりだった。本業が営業マンで、朝から晩まで営業という仕事を四半世紀続けてきて、「これ以上営業活動するのはマジで勘弁」という気分になっていたので、書き仕事方面では絶対に営業はしないという決意のもと、これまでいっさいの営業活動はおこなってこなかった。
 
それでも、おかげさまで毎月原稿を書く仕事が切れたことはない。また、書籍を出版することもできた。本当にありがたい。それにともなって、僕の口座には会社からの給与以外に、原稿料や印税というお金が入ってくることになり、その額がまあまあ大きなものであるために、あれだけ他人事と決め込んでいた確定申告との付き合いがはじまったのである。長々と書いてきたがこれが僕と確定申告とのなれそめである。
 
2.確定申告から逃げられなくなった。
 
このように、確定申告とは縁がないと思っていた平凡な会社員の僕が確定申告と関わるようになったのは、声をかけられて書き仕事(執筆業)をはじめて、副収入を得るようになったことがきっかけである。自分から副業に向けて積極的に動いていないことが、一般的な副業で稼いでいる人とは違った。意識が低かったため、確定申告を忘れて大変なことになったかもしれない。そういう事態を回避したのはただただ幸運だったにすぎない。当時はちょうどネット副業が流行りだした時期だった。インターネットやSNSで、「注意!こういうケースに該当する人は会社員でも確定申告をする必要があります。もししなければ追徴課税も…」という記事を頻繁に目にするようになったからである。おそらく、その手の記事を書いていた人はその手の記事で収入を得ていたのだと思われるが、それを目にして、自分が該当することに気が付いたのである。
 
もともと「確定申告は損をする」という固定概念があった。確定申告をせずに脱税をする人が跡を絶たないことが、その思いを強いものにしていた。だが、いろいろ調べてみると、確定申告は損をするばかりではなく、得をすることもあるらしいことがわかった。損得というよりは、払いすぎていた税金が適正になってその分が戻ってくるケースがあるらしいのだ。得をするならやってみようとアクションをはじめるのが小市民の悲しみにあふれている。また、副業イコール強制的に確定申告ではないこともわかった。ざっくり説明すると僕のような会社員の場合、本業の給与所得以外に、副業で年20万円以上の収入があると、確定申告の必要性があるということだった。
 
恥ずかしいことに、副業でいくら収入があったのか、当時、僕はまったく把握していなかった。「どれだけ意識が低いのだ!」という批難されても仕方がない。口座残高を見て「お金が入ってきているなー」くらいの金銭感覚だったのだ。言い訳になるが、奥様にお金を管理されており、副業で稼いだお金であっても自分の自由には使えなかったのだ。自分のお金でないお金の出入金をチェックする気にはならなかった。
 
そういった哀しい実態があったため、実際に副業でどれだけの入金があったのか、正確に把握していなかったのである。余談だが、僕は10年以上給与明細をまともに見ていない。自分で使えないお金の額を見ても哀しくなるからである。
 
確認したら、年20万円というラインは、書き仕事をはじめてから数か月のうちに単月でクリアしていた。原稿料については各クライアントとの守秘義務があるので明かせないが、これまでもっとも多かった月で連載とスポット、記名無記名の記事執筆で5~6件の原稿料をいただいていて、まあまあな金額を記録していた。それに書籍の印税が加わるのだ。相応の額になっていた。
 
しかし、副業というよりはアルバイト感覚で取組んでいたために、仕事を受ける際の条件の確認を怠っていたため。実際に確定申告の手続きをする際に少々苦労することになった。それについては次の章でお話したいと思う。
 
確定申告が面倒くさそうという理由で副業をしない理由はない。僕個人の経験からいえば、副業は、受ける仕事の量をコントロールさえできれば、余裕で両立できるのでおすすめである。不快な思いをしたこともない。書き仕事では、源泉徴収票を送ってもらえれば、確定申告は余裕だ。もっとも現在は、僕がはじめた数年前のようには、執筆業では稼げなくなっているので(僕は幸運だった)、小遣い稼ぎ程度に考えたほうがよさそうではある。
 
そういえば1件だけ少し不快なことがあった。いきなりメールで原稿依頼を送ってきて、たいしたやり取りもなく、強引に連載を開始されたウェブ・メディアがあった。数か月間、隔週連載のタイトな〆切に悲鳴をあげながら耐えていたが、突然、経営不振のためという理由で一方的に連載は終了させられた。お金がないなら仕方がないと諦めたが、同メディアの連載陣で切られたのは僕だけであった。このような強引な依頼があったら、注意してもらいたい。なお、そのメディアに対する恨みはまったくない。大手広告代理出身者は信用しないほうがよいという学びを得られてよかったとさえ思っている。1時間ほど地獄に落ちてくれればそれでいい。まったく問題ない。
 
3.初めての確定申告に苦しんだのは、準備がなかったから。
 
初めての確定申告に臨むにあたって、ソフトや他者の力を借りずに完全に自力でやることにした。前の章で述べたとおり、確定申告について自分で調べてみて、独力で出来ると判断したのだ。理由は2つ。ひとつは、大きな金額や多くの顧客を相手にしていないミニマムな副業であったこと。そして、税理士に頼んだり、高価なソフトを入れたりするなどして、確定申告にお金をかけてしまっては副業で稼いだお金がもったいないという貧乏性がうずきはじめたからである。
 
もうひとつは、自力でやっている先輩たちの体験記はいくらでもネットで見つかったのでそれを参考にすれば出来るという謎の自信が身についていたのである。これは大きな間違いであった。自力でサクサク確定申告ができているパイセンたちは、備えてきた人たちであった。はじめて確定申告に臨んだときの僕はといえば、これまでお話してきたように、知識も準備も不足していた。
 
副業での収入が年間でどれくらいあるのかを調べることになった。それを踏まえて、確定申告をするためには、お金の流れを把握するために、どこから、どのような名目で支払われたのか明らかにする必要があったからだ。まず、毎月振り込まれていた原稿料の詳細を残高でチェックしてみた。
 
おかしい。見覚えのある依頼主から入金されている金額が、覚えのない金額だったのだ。たとえば「39916円」という入金額。意味がわからなかった。仕事を受けるときに、1円の単位まで決められた細かい金額提示があったら突っ込みを入れている。実際に契約が締結する際の話し合いでは、〇万円、〇千円という金額で受けていた記憶があった。
 
とりあえずエクセルで簡単な表をつくって、顧客名、振り込まれた日、入金額を入力していった。どの顧客からの入金も1円単位の細かい額だったので、そういう業界のルールなのだな、と無理やり納得して次の作業へ移ることにした。家族全員B型という典型的なB型人間の考え方である。
 
「副業でつかった経費をまとめよう」という情報から、経費として落とせば所得が少なくなり、納税額が少なくなるという知見を得たので、副業でかかった経費を計上してみることにした。古いドラマや映画などで、登場人物が確定申告の際にレシートや領収書を血眼になって探しているシーンを観た記憶があるが、納税額にかかわるから必死だったのだな、と理解した。その流れで、書き仕事にかかる、取材でつかった費用や、事務用品が経費として認められると知った。「経費!おそろしい子!」と喜ぶのも束の間で、確定申告というものを意識せずに過ごしてきたため、経費の証明となるレシートや領収書の類は一切残っていなかった。こうして初めての確定申告における経費はゼロという最悪な事態に陥ったのである。経費!おそろしい子!
 
経費がゼロであるなら、せめて副業で稼いだ金額だけでも把握しようと心に誓い、見て見ぬふりをしてきた謎の細かい入金額と正面から対峙することにした。経費がない哀しみを力にかえたのだ。
 
原稿料4万円の仕事で入金されたのが39,916円であった。調べると源泉徴収されていた。源泉徴収とは、支払い時に税金を差っ引いておきます、という仕組みである。支払われた側を信用していない仕組みともいえる。すぐに、所得税と復興特別所得税として40,000円×10.21%、4084円が引かれていることに気が付いた。
 
40,000円から4,084円を引いてみた。35,916円である。39,916円にはならない。意味がわからない。落ち着いて考えれば簡単なことであった。消費税である。40,000円に対して10%の消費税、4,000円を組み込めば謎の金額の謎はすっかり解けるのである。
 
4084円(源泉徴収 所得税+復興特別所得税)
40000円×10.21%=4084円
40000円+4000円‐4084円=39916円
 
この公式に当てはめれば別の金額の原稿料の謎も解けた。これらをおじさんらしくエクセルのシートに入力して印刷して自分なりの資料とした。いざ、確定申告の段階となった。繰り返してきたように確定申告に対して無頓着であった僕は、ネットで申告できる環境を整えていなかったので、必然的に管轄税務署に足を運ぶ必要があった。会社や副業のクライアントから送られてきた所得の証明書と、自分なりにまとめた資料を持参して地元の税務署へ行って、絶望した。軽い気持ちで飛び込んではいけない場所だと悟った。
 
税務署には多くの人がいた。特設コーナーを増設していたがさばけない人の数である。「確定申告コーナーはこちら」と書かれていた列に仕方なく並ぶがなかなか進まない。確定申告の時期は冬である。寒さに耐えなければならない過酷な競争がそこにはあったのである。遅々として進まない行列に並びながら、次回からは必ずEタックスで申告しようと心に誓った。
 
まず1時間以上2時間近くは待ったのではないか。待っている間にゲームをやっていたがスマホの電池が切れた。虚無の時間を耐えぬいて、確定申告コーナーに辿りついた。最初に説明を受けてから、また少し待って、順番が来たら仕切られたブースに入って、PCで申告書類を作成する流れになっていた。ブースにはジャンパーを着たヘルプの職員がひとり付いて、その方の指示に従って入力していくだけである。
 
持参してきた資料をもとに入力すればいいので簡単に出来た。「経費はありますか?」訊かれたので「レシートと領収書がありませんでした」と答えたときの、ヘルプ職員の悲しげな表情が忘れられない。だが、まだ終わりではなかった。そこで出力された書類を持って、また少し虚無の顔で待ち、次の申告コーナーで出力した書類を提出して、そこで手続きをして、振込票をもらって納期限を告げられた。税務署に着いてから納期限を告げられるまで3時間超。これが僕の初めての確定申告である。「疲れた」のひとことに尽きる。
 
4 確定申告は簡単にするのは準備次第である。

はじめての確定申告から毎年確定申告をし続けている。初回の反省をもとに確定申告の準備を整えているため苦労することもなくなり、Eタックスで自宅から申告するようにしたので、寒空の下、行列に並ぶこともなくなった。
 
副業=書き仕事も変わらずに続けている。変わったのは、書籍を執筆していただく印税の割合が増えたくらいだろうか。副業を受けるときの条件もしっかりとチェックするようにした。口約束はやめて、書類でもらえるものは書類にしてもらっている。また経費で落とせそうなものはきちんと記録し、レシート等もきっちりと残している。
 
僕は初めての確定申告で思わぬ苦戦を強いられた。税務署の行列の圧と混雑は、確定申告アレルギーが出てもおかしくないレベルである。それでも僕は、小規模の副業なら、確定申告は他者に頼らずに自力でやるべきだと思う。苦労をしろとはいわない。確定申告は準備さえ整えれば難しくないし、税金の流れを知っておいても損はしないからだ。
 
片手間でもできる。片手間でもできるような準備さえしておけば確定申告は余裕だ。副業にかかる収入の出入金や経費の管理さえやっておけばいい。ソフトを使えば本当に楽勝。確定申告は難しくない。初回の僕のように甘く考えなければまったく問題ない。完全に自力でやろうとせずに、有識者の話を聞いたり、ソフトを活用したりするなどして、時間と労力とお金を無駄にしないようにしてください。僕からは以上です。

 

冒頭で告白したとおり、今回の記事はAdobe社のPR記事である。
よってここからは、「Adobe Acrobat オンラインツール」について解説しておく。
なんと、このAcrobat オンラインツール、まさに確定申告に悩める人の救世主となりうるツールである。


Acrobat オンラインツールは、ビジネスマンなら誰もが使っているであろうPDF作成ツール Acrobatのオンライン版だ。確定申告をする人の中には、領収書をPDF化して管理する人が多いと聞く。ただ、領収書のPDFが増えすぎると、管理するのも一苦労だ。そこでオススメしたいのが、Acrobat オンラインツールなのだ。


Acrobat オンラインツールを使えば、オンライン上で、複数のPDFをひとつにまとめられる。さらには、WordやExcelといった書類も、すべてPDFに変換して保存できる
それ以外にも、さまざまな機能がオンラインで使える。機能を説明し始めると、さらに3万字くらい書くことになってしまう。なので、Acrobatにオンライン版があるとは知らなかった、という人はぜひサイトにアクセスしてみてほしい。こういった文明の利器を活用して、確定申告を楽にしてもらいたい。以上。