Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

食品業界の中の人だけど、国産米高騰のなかで外国米導入に苦戦している理由を語ってみるよ。

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僕は食品会社の営業部長。本来の仕事は法人向けの新規開発だが、昨今の米不足の影響で業務用米の確保に日々、駆け回っている。政府備蓄米の流通がはじまったが、以前の記事で予想したとおり米の価格は「若干落ちついたかな?」という程度で、価格上昇傾向は変わっていない。マスコミで報道されているのは一般向けの米だが、僕が取り扱っている業務用米の価格は5月以降の値上げ傾向は変わらない。鈍化もしていない。取引している業務用米の価格は平均するとキロ700円台後半。少し早い話になるが、この秋以降も同じ傾向が続くという見通しも米業者さんからも出始めている。元通りにはならない気がしてきている。備蓄米を毎月放出するらしいけど価格の安定にはどうかな。期待しないほうがよさそうだ。

勤めている会社は給食事業もやっている。給食事業は給食委託契約のなかで一食あたりの食材費が決められている。契約の条件がそのままでは、業務用米をはじめとする食材高騰に対応できないため(赤字に陥る)、既存のクライアントとは価格改定の交渉を昨年から続けている。八割くらいのクライアントは「物価高騰厳しいよね」「仕方ありませんね」といった感じで積極的、非積極的に交渉に応じてくれたが、中には「企業努力でなんとかやって」「内容は粗末にしてもいいから価格は絶対維持」といって交渉に応じないクライアントもあった。利用者にバレないように、見た目は変わらないようにしてほしいと求めてきたけど無理ですわ。なかには「家でごはんをたくさん食べられない従業員のためにせめて社員食堂ではたくさんのご飯を食べさせたいんですよ。価格はそのままで」という発言をする担当者もいた。真顔だった。ナチュラルボーン下請けイジメ。恐ろしい。

何が言いたいのかというと給食事業では相応の量の業務用米が必要であること、そして契約更新に応じない法人も多々あるということ。原価が高騰しているなら価格を上げればいいという意見を見かけるが、給食は契約で食事価格が定められているので自由に設定ができないのだ(そのかわりある一定の食数が約束され、費用負担も街中の飲食業よりも軽いという利点もある)。価格設定を変えるには新たない覚書を締結するなどして条件を変えるしかないのだ。

このブログでも言い続けてきたが、業務用米は使用する量が多いこともあって確保に苦戦している。状況は好転していない。既存の事業で使用する米を確保するのがやっとで、今年度に開始する予定の新規事業で使用する米の目途はたっていない。というわけで外国産米の導入を計画して業者と交渉をすすめてきた。計画ではカルローズ米と台湾米を導入する予定。いくつかの商品を試食した。国産米と食感の違いはあるが、カルローズ米も台湾米も普通に美味しかった。とにかく価格が安い。業務用で国産米の5〜6割ほどの価格帯は魅力だ。

給食事業の既存客(主として価格改訂に応じないところ)にこれらのサンプルを持参して外国産米の導入を交渉している。残念ながら今のところ前向きな回答はない。即座に拒否されたところもある。理由は「外国産は美味しいけどウチでは国産米の使用を続けてください」「国産から切り替えたときの利用者の反応が怖い」。外国産米のクオリティは認めつつも国産米へのこだわりが強すぎるため切り替えを拒否するのである。外国産米の導入のように米価格高騰への対応策はいくつかあるが、それを阻害するのは国産米への強いこだわりだ。執着といっていい。それと合わせて米飯へのこだわりも原因だ。パスタやパンなど他の炭水化物への変更も拒否されている。

このように給食事業の顧客には国産米と米飯への強い執着があって、価格高騰への企業努力が無力化されている。興味深いのは、「美味しい外国産米は他のところで使用して、そのぶんをウチに回せばいいじゃない」的な考えをする顧客の多いことだ。そういう考えをする人が多いから、米の価格が高くなっているんじゃね?(所要時間21分)