Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

著作に付けられた酷評Amazonレビューにキズついて作家引退まで考えてしまいました。

好き好き大好きAmazonショッピング。クリック数回で終わる快適な買い物体験もさることながら、レビュー欄自体がコンテンツとして成立しているのがマジ最高。ただし最高であったのは過去のことである。残念ながら最近は、商品発売直後の不自然な高評価連発とアンチの低評価が悪目立ちして、まともなレビューが埋没している状況。声の大きな人や極端な声が目立っているネット社会そのものである。

それでも楽しく前向きな高評価レビューは読んでいて楽しい。そういうレビューで埋められているほうが気分がいい。だが高評価レビューの中にも「目から鱗が落ちました」「人生を変える一冊でした」的な薄気味悪いものも多い。そのような人は何枚眼球に鱗が貼られていて、何回人生を変えてきたのだろうか、心配になる。ウロコにつつまれた半魚人なのか、人生をループしている人なのか知らないが、生き方そのものを変えてみたほうがよろしいのではないかと愚考する次第である。また、アンチ姿勢から悪口的なレビューを投稿している人は、ワンパターンなのでもう少し悪口を工夫してみたほうがいい。ご自分の思い通りにならない人生をレビューにブツけたところで、何も変わらないことに早く気付いてもらいたい。「こいつ仕事できなそう」「モテないやろなあ」と思われているだけである。

このような無価値のウンコレビューの中にも、ときどき面白いものがあって、それを見つけるのがAmazonの楽しさのひとつである。異常な文才や超絶技巧を駆使しているものも面白いが、一瞬だけ才能がきらめいた瞬間を示した味わい深いレビューが素晴らしい。たとえば僕のツボにはまったのがこれ。

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とある短編集につけられた酷評である(ここ→勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪: ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)。キリマンジャロの雪に対する偏愛と作者に対する怒りが短い文章にこめられていて最高である。「タイトルにあるキリマンジャロの雪が出てこない!」→「死んでいく男の回想なんて読みたくない!」→「詐欺だ!」というシンプルな思考回路に感動すら覚える。「自分はこんなにシンプルに生きられているか?複雑に考えすぎていないか?」という生き方への問いかけにも思える。だが、投稿者が小説を読むのに向いていないタイプの人であるのは間違いない。ヘミングウェイを知っているのかも疑わしい。彼が「キリマンジャロ・ブレンド(コーヒー)」、「雪肌精(化粧水)」への寄り道を経て、いつの日かキリマンジャロの雪について詳細に書かれた書籍に出会えるよう祈っている。

このように他人事として傍観者としてAmazonレビューを楽しんできたが、著作を何冊か出して他人事ではなくなってきた。僕の著作にもレビューが投稿されているからだ。僕は、Amazonに限らず、著作につけられたレビューは全部目を通している。高評価も低評価も本当にありがたい。感謝申し上げる。じつのところ高評価よりも低評価のレビューのほうが参考になる。さいわい、前に出した本も含めて、つけられたレビューは厳しいものはあったけれども、悪口的な誹謗中傷めいたものはなかった。今回はじめてその種のレビューが付いて感動したのでご紹介したい。これだ。

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いちいち改行&末尾にwがついているのが古臭くて、久しぶりに見て感動したw

「平成でアタマ思考停止してる」という指摘については、この方が古臭いという意味で平成という言葉を使っていると信じたいw

平成より前の元号を知らないように見えたので(昭和ですよw)w

全体的に知能が低そうな文面からこれまでの人生うまくいっていないと推測されるが頑張って生きてほしいw

『神・文章術』という文字が読めてよかったw

私信終わり。

このように僕は著作への酷評についても冷静に受け止めている。その証拠に何を隠そう「1人のお客様がこれが役に立ったと考えています」の「1人のお客様」は僕である。どんな声でも感謝カンゲキ雨嵐。『神・文章術』よろしくお願いいたします。(所要時間21分)