Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

メガヒット中のアニメ映画鑑賞中に覚えた違和感について。

大ヒット中のアニメ映画「すずめの戸締り」をみた。面白かった。大絶賛ではない。ネガティブな意見をいうと信者の人から叩かれるので表記を、特定できないように「●の●●り」としておく。一般常識のある大人なら何について語っているかわかるはずだ。前提として申し上げたいのは今振り返れば作品鑑賞中に僕が「●の●●り」を楽しんだということだ。「●の●●り」は十分に満足できる体験であった。今でもときどき劇場での「●の●●り」体験に思いを馳せている。

鑑賞前に「面白いとか面白くないという評価に当てはまらない、人生にとって大切な作品」みたいな薄気味悪い感想をSNSで目にして、大昔に映画「一杯のかけそば」を観たときに似たイヤな予感がしていたけれども、杞憂であった。確かに、女子高生が世界を救うために走り回る展開も、このシーンではああいう音楽が鳴るのだろうなという予想通りに予想通りの音楽がかかるのも、新海監督作品あるあるなのだが、上質なエンタメ作品に仕上がっていた(と僕には思えた)。もちろん、若者のロードムービー調ではない作品を見てみたいし、起用している特定のミュージシャンから離れた作風を期待したいという思いは、ある。後者については人によっては特定ミュージシャンの2時間PVに見えないこともないだろう。これらの言いがかり的な注文も新海監督の近作の作風といえばそこまでだろう。しかし、女子高生が走り回ったり、特定ミュージシャンの音楽が流れるたびに、この「●の●●り」からやけにムズムズとした違和感を覚えたのも事実なのだ。また、東日本の震災が大きなファクタになっていて、その描き方がいささか軽いものに見えたのは驚きだった。極論をいえば、他の災害や事故でも代替可能な描き方であった。これはポジティブな描き方だろう。東日本!大震災!と身構えずに普通のスタンスかつ冷静に震災と向き合えるようになったことの証左ともいえるからだ。

「すずめの戸締り」は良い作品であった。付記しなければならないのは、女子学生が日本中をかけめぐる姿をみて、僕の「●の●●り」がむずむずと痒くなってしまったことだ。有識者の皆さんは「●の●●り」が肉体においてどこの部位を指しているのか、説明はいらないだろう。「すずめの戸締り」を奥様と劇場で鑑賞しているとき、僕は己の「●の●●り」に耐えがたきカユミを伴った違和感を覚えた。前々前世の小刻みなビートでシートにこすりつけてもおさまらなかった。しかたなく、僕は、劇場のシートから腰を浮かせ、心の中で「お返し申す」と叫びながら「●の●●り」をポリポリとかいた。人生の伴侶の傍らで。だが「すずめの戸締り」のように痒さに鍵はかけられない。結局、エンディングまで「●の●●り」から猛烈な痒さをともなった違和感は消えなかった。集中できなかったので「すずめの戸締り」はもう一度劇場で鑑賞するつもりである。冒頭から「すずめの戸締り」と「●の●●り」のレビューが混在していまったのでこのへんで僕のターンは終わらせて皆さまにお返し申す。(所要時間18分)