Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

食品業界の中の人だけど謎のお米を売りつけようとする怪業者が接触してきたよ。

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僕は食品業界の片隅で働く営業部長。業務用のお米の価格の高騰と取扱量の不足という事態に直面している。ウチの会社はお米の納品先をいくつか持っていて、7割程度をメインの業者、その他3割を数社から納品している。いずれの業者からも値上げとこれ以上の取扱は難しいという打診を受けている。苦境を乗り切るために、お米を使わない商品へのシフト等企業努力をしているが給食部門だけはどうしてもお米を使わざるをえないため苦労している。給食は食材費が定められているので「お米をやめてパンにしましょう」というわけにはいかないという事情もある。

ウチがお米を必要としているという情報を聞きつけたのだろうね、とある業者がお米を買いませんかと売り込みをかけてきた。これまで取引のなかった法人だ。仕入れ担当がサンプル提供と試食を依頼したうえで「保管状況を確認したい」と告げたら、他にもいくらでも買ってくれるところはあると捨て台詞を残して逃亡。この情報を受けて、おそらく品質管理の出来ていない環境で保管しているため実物を見せられないのだろうと結論付けた。お米はデリケートなので、温度や湿度管理の出来ていない、不衛生な場所に放置しておいたらあっという間に鮮度が落ち、虫がついてしまう。そんなもの買えるわけないじゃないかと笑っていたら、僕宛てに知らない業者からコンタクトがあって、米が大量にあるので買ってくれないかという依頼だった。僕にコンタクトしてきたのは、僕が新規開発営業だけでなく食材の買い付け業務もやっているため、どこかで名前を聞きつけたのだと思われる。世間狭すぎ。こんなこともあろうかと、宇宙戦艦ヤマトの真田さんを見習って対策を考えておいたので対応(撃退)しておいた。

「価格表(見積)とサンプルをください。サンプルについては保管している場所に私が出向きますので、無作為抽出したロットからサンプルを取らせていただきます。その場で炊飯して実食して評価させていただきます。その際に保管状況も確認させてください」「価格表はすぐにメールしますが、サンプルについてはこちらからすぐに配送で送らせていただきます。サンプルを取っている様子の動画もあります。保管場所の画像も送ります」「結構です。撮影した動画のサンプルと送られてくるサンプルが同じものとは証明できませんよね。画像だけで保管場所をチェックするのもありえません。サンプルについては検討してください。トレーサビリティは問題ありませんよね」「特別なルートで仕入れているので明かせません…もういいです、他に買い手はいますから」「そちらの言い値で全部買ってもいいですよ」「本当ですか。現金払いですか」「必要なので。最後にもう一点。当社は継続的に相応の量のお米を必要としています。継続的な供給は可能ですか」「一回キリです。量は100ほどあります」「100トンですか」「100キロです」「それっぽっちの量ではどうしようもありません。そのうえ品質が保証できないお米は買えません。以上」こうやって撃退して同業他社に情報を共有しておいた。その法人をネットで検索しても出てこなかった。そういうことだろうね。

今回の米不足に乗じて米を確保した者のなかには米を取り扱ったことのない素人が多いと思われる。皆さまにおかれましては、品質管理のなっていない粗悪なお米をつかまされないように気を付けてもらいたい。ポイントは品質管理とサンプル提供(方法)。それと意外と見落としがちなのが確保している量と継続提供の可否である。ウチが拒否ったお米がどこに辿り着くのかわからないけれど、格安店や激安加工食品に流れ着くのではないかと推測している。しかし今回のような個人に毛の生えたような規模の取扱い量が、何十万トンの行方不明のお米の原因とは考えにくい。うーむ。とりあえずお米を食べたい人はちょっと高いけれどもしっかりしたところで買いましょう。まともに取り扱えない奴らは大損こいて滅亡すればいいけれども、これだけお米がないのに無駄になってしまうお米が出るのは食品を取り扱っている人間としてはやりきれない。(所要時間21分)